得なことは喜んで受け入れ、損なことは怒ったり、悲しんだりするもの。
得なことの例としては、こんなのが挙げられる。
- 買ったモノの値札が間違っていて、実は安かった
- たまたま行ったタイミングで半額シールが貼られた
- 今日は特売日と知らず、卵がお得
- お店の周年キャンペーンでドリンク半額
損なことの例としては、こんなのが挙げられる。
- 昨日までは楽天スーパーセールで半額だったのに定価に戻ってる。しかし今必要だから買うしかない。
- ラーメン屋で順番待ちしていたら、店から店員が出てきてスープ無くなりましたの宣告
- ガラガラを回す前から4等以上のあたりがすでに終了
- さぁ拭くぞとトイレットペーパーを見るとほぼ芯しか残ってない
以上に挙げたもの以外も人の経験によってさまざまであるが、
今回は自分が得したときのエピソードを記す。
夏が目前の梅雨入りして間もない6月。まだ来てほしくもない暑さが朝から広がる。
会社の最寄り駐車場に車を止めて、会社までおよそ徒歩15分。
この日はいつも通り2日酔いであったが、水よりもコーラを体が求めていた。
「あかん、会社着いたらすぐ仕事やから事務所近くの自販機に買いに行く余裕ない。コンビニ行ってまうと
出社時間遅れる。ほぼ100円の自販機が会社までの道中にあるはずやから、そこで買うで!」
事務所近くの自販機にもコンビニにも行けない言い訳を思いながら、本当は自販機で買った後のルーレットを
楽しみにしていた。自販機に小銭入れ、ほしい飲み物のボタンを押すと押した飲み物が出てくる。これが普通の自販機。
それに対しルーレット付きはボタンを押すと数字3ケタ~4ケタの数字が順にルーレットで表示する。
数字が同じものに揃うと、あたりとして買った飲み物の値段に関わらずに1分以内にボタンを押せばその自販機の飲み物がもらえる。
どうせ買うならルーレットをしたいと子どものように意気込んで、目的の自販機が見える曲がり角を進むとすでに先客がいた。
ガタイがいいおじさん。オロナミンCの釦を押してはすぐに次の小銭を投入してさらにオロナミンCの釦を押す。
待てば待つほどひどくなっていく(気がする)二日酔い。早くコーラが飲みたいとブルブルし出したら目の前からおじさんが
居なくなっていた。見るとオロナミンCを握りしめて道路を渡っている。「よし、これでコーラが買えるぜい」と
小銭を入れようとすると自販機がピピピと鳴き出した。よく見ると揃っている数字。
押せばすぐコーラが手に入る!・・・しかし、これはおじさんの当たり。
まだ善良な心が残っていたのか朝だから心が広いのかすでに10mは離れているおじさんに向かって、
「すみませんっっっっ!!さっき買われたやつで自販機当たってますよ!!」
一発で聞こえるよう大声で発したところすぐさまおじさん振り向く。
そして、兄ちゃんに挙げるわと口調とジェスチャーでふっと笑顔とともに去っていった。
「かっけぇぇぇ。。。」と思うのも束の間、もうすぐ1分経ってしまうことに気づき
振り向いてすぐボタン押す。出てきたのはスポーツドリンク。
「しまったっっっっ!!二日酔いに優しいもの買ってもうた!」
ということで、やっぱり自分の小銭入れてコーラのボタンをぽちっと。
邪心に満ちた顔ではもちろんルーレットははずれ。
とはいえ、見知らぬ人からの親切って尊い。
その後出社してから飲んだスポーツドリンクはとびきり美味かった。
(おしまい)